今日はアルミ筐体スピーカー「AluSteal」の試聴会に行ってきたので、そのレポートを書こうと思います。
このスピーカーを開発したのは、工場板金の老舗である佐藤製作所。
数メートルに及ぶ大型のものも含め、多種多様なアルミ製品を製造しています。
そうしたアルミ加工の技術をスピーカーに活かせるのではないか、という発案のもと、このスピーカーが生まれました。
試聴会では、①ガラス振動板ユニットの作品 ②メタル振動板の作品 ③マイカ混沙ペーパー振動板の作品。
②と③は、現在クラウドファンディングに挑戦しているとのこと。
①ガラス振動板の作品
まず、聴いたのは①のガラス振動板の作品。先日のステレオ誌でも注目されていたマークオーディオのAlpair 5Gというドライバーを搭載しています。
JPOPSを聴くと、研ぎ澄まされた解像度と、厚みのあるボーカルが感じられ、実にクオリティの高い音だと感じました。外観や素材から無機質な音ではないかという心配とは裏腹に、エネルギー感の強さが印象に残る音でした。
音が暴れやすいアニソンを鳴らすと、箱が鳴いていないメリットがより顕著に感じられました。クリーンな背景のなかで、
低音は8cmの限界まで引き出され、厚みのある低音を聴かせます。柔らかめの質感ですが、ベースライン、ドラムともにタッチが明確で心地よいものでした。
この①の作品は、まだまだ調整したいという開発者のコメントもあり、今後が楽しみな作品ですね。
②メタル振動板の作品
小さな見た目とは裏腹に充実感のあるサウンドで、ボーカルとベースが色濃く感じらるものでした。 定位は極めて良好で、クリーンな音場の中に、クッキリとしたフォーカスで浮かび上がるボーカルは、他にはない魅力あるものでした。
サウンドはクッキリ系ですが、余分な音が出ないことがそうした印象を与えているのであって、荒っぽい音源でも暴れることなく再生できる安心感があります。
③マイカ混抄ペーパーコーンの作品
先の作品と同じくクラウドファンディング受付中の本作は、余韻を感じるボーカルが魅力的です。
適度に解れた表情は、オーソドックスな質感であり、肩の力を抜いて聴ける良さがあると感じました。
先のメタル振動板タイプと比べるとより若干低音は控えめですが、むしろウェルバランスとも感じられます。ベースやドラムは明瞭なので低音不足とは感じないでしょう。
真空管アンプでは、より一層持ち味が発揮され、女性ボーカルの肉声感は随一。手持ちの女性ボーカルを聴かせて頂きましたが、滲みのないボーカルを堪能することができました。 この口径のフルレンジスピーカーとしては、かなり完成度が高いといえるでしょう。
アルミ筐体スピーカー「AluSteal」の音とは?
全体的に、付帯音や滲みの少ない音という印象です。素材固有の音が抑えられ、ユニットからの音を直接聴くような印象を受けました。
アルミで作ったからといって、シンバルが強くなることはなく、むしろクリーンな背景音が印象的な現代的なスピーカーだと言えますね。
癖が少ないのでどの音楽ジャンルでも大丈夫ですが、今回の試聴会で再生したようなPOPSやアニソンなどでその能力の高さを感じられるのではないでしょうか。
メタル振動板かマイカ混抄ペーパー振動板か?
クラウドファンディングでは、振動板違いの2機種を選ぶことができます。
まずメタル振動板は、音に滲みがなく、音像が極めて明確。クリーンな空間にボーカルが浮かぶ様子は、参加者からも感嘆の声が聞かれました。
音の好みで選んで良いと思いますが、自分なら、サブシステムとしての導入なら特徴の際立つメタル振動板。メインシステムとして日常的に使うなら、肌馴染みのいい音のマイカ混抄ペーパー振動板が魅力的だ思います。
ちょうどクラウドファンディングが始まったところですので、ぜひページを見ていただければと思います。